2011/08/15 作成
山梨・北杜市の清里高原は八ヶ岳の南斜面に位置する高原野菜の栽培に適した地域です。涼やかな気候の中、昼間にたっぷりと太陽を浴び光合成して蓄えた養分を、気温の下がった夜に自らが成長するための糖分や栄養素に作り変えることで、野菜の甘みが増し、旨みがギュッと詰まった野菜に育ちます
清里高原のとうもろこしは、8月上旬~9月下旬が収穫時期。とうもろこしは熱を持ちやすく、熱を持ってしまうと糖度が落ちる性質があります。生産者の皆さんは、日が昇り始めるまでに収穫を終え、その日の昼にはポランの流通センターへと出荷。翌日には皆さんの元に届けられます

とうもろこし畑の動物除け
甘みのあるとうもろこしは、特に虫や動物(シカ、タヌキ、イノシシ、鳥)の被害に遭いやすい野菜です。その中でも一番多いのは蛾の幼虫による被害で、とうもろこしの葉の裏側に卵を産みつけます。卵から孵った幼虫は、柔らかい茎の先端部分に穴を開けて中へ入り込み、茎の中を下へ下へと下りていき、穂先から実の中へと入って食べてしまいます。例年穂先から虫が入り、かじられる物が大半でしたが、今年は違います。皮を横から破って中に侵入し、ムシャムシャと実を食べてしまいます。虫の入った形跡を見つけては、茎の一部を刈り取り焼却処分しますが、畑が広く対処しきれません
有機農業を始めた15年前は、虫害被害も2~3%でしたが、年々その割合が増え、今年は30~60%にまで及んでいます。収穫量も上がらず、選別作業も大変な手間となっています

【とうもろこし】
小林農場(山梨県北杜市)、平良次男(山梨県北杜市)
昼夜の寒暖差のある山梨県北杜市で育ったとうもろこしは甘みも旨みもたっぷり。栄養面でもセルロースを多く含み、食物繊維が豊富で腸内環境の改善にも効果が期待できます。栄養分は粒の根元の胚芽部分に集中しているので、根元からきれいに取ることで栄養を逃さずに摂ることが出来ます
一粒も無駄にしない!とうもろこしの保存法
茹でるか蒸した後、実をはずして冷凍することで、スープや炒め物にすぐに使え便利です。包丁を使い、一列だけ削ぎ落とします。次の列からは、親指の腹で縦に実をはずしていくと、きれいにはずすことができます

小林力さん


オーガニックマーケット笑日和(わらぴよ)
清里は海抜1,100~1,200mに位置し、昼夜の気温の差を活かした高冷地野菜の栽培が盛んな地域です
私は、自宅前の80アールの畑と、少し離れたところにある12~13アールの畑で、主に【とうもろこし】を栽培しています。他にも【大根】、【キャベツ】、【モロッコいんげん】、【紫花豆】など数多くの作物を有機栽培しています
我が家は私で3代目になる開拓農民です。1934(昭和9)年に祖父が国策であった食糧生産増に対して、開拓者として当時荒野であった清里に立ちました。開墾作業からの農業で、水もなく藁で囲った家での始まりだったと聞いています。それから4年後、東京都のダム建設により田畑が奥多摩湖に沈んだ農家28戸が清里に入植し仲間が増えました。その頃は、じゃが芋、そば、あわが主で食べていくのがやっとだったそうです
私は、幼い頃から化学肥料や農薬を使用した農家の姿を見てきました。夏の間は畑仕事、冬の間は病院通いをしている人達を見て、将来の日本の農業はこれで良いのかと疑問に思ったのが、有機農業をはじめるきっかけです
清里は、朝晩の気温の差が激しく高原野菜の産地としてはもちろん、害虫が少なく有機栽培に適した地域でしたが、ここ数年前から作物の病害虫が急激に増えています。今まで夏に出来てた野菜が出来なかったり、高原では不可能と言われた農産物がうまく収穫出来たりしています。この様な環境の変化に対応すべく、清里でバリバリの有機農家で農事組合法人清里ファームを設立。また、地元の方にも有機野菜に親しんでもらえるよう、《オーガニックマーケット笑日和(わらぴよ)》をオープンしました。現在は、旬の採れたて野菜が中心ですが、いずれは自分達の農産物を使った野菜パウダーなどの加工野菜にも取組む予定です
私たちは、祖父母や両親が心血を注いで開墾した清里の地に生活し、農業を生活の基盤として取り組み、ここ清里から有機農業を発信していきます
小林 力
ポランの有機野菜を使った自家製スープストック作りがおすすめ。有機野菜を使うことで、シンプルな原材料だけで奥深い味わいが生まれます。食欲のない夏場にもさっぱり飲めます。スープキューブはたっぷり作って、冷凍庫で保存しておくのもおすすめです


ポタージュスープキューブ
<材料>
とうもろこし(2本)、じゃが芋(2個)、玉ねぎ(1個)、洋風だしの素(1袋)、水(500cc)、バター(大さじ1.5)
<作り方>
- とうもろこしはゆでて実をとっておく。じゃが芋は皮をむいて適当な大きさに切っておきます
- 鍋にバターを入れ薄切りにした玉ねぎを炒めます。しんなりしてきたら水を入れ、じゃが芋、とうもろこしの実、洋風だしの素を入れやわらかくなるまで弱火で煮込みます
- やわらかくなったら粗熱をとり、ハンドミキサーまたはミキサー(フードプロセッサー)に入れてなめらかにします
- 製氷器(アイストレー)で凍らせた後とり出し、密閉袋へ移しかえれば保存用のスープキューブが出来あがりです
- スープキューブは、食べたい時に、牛乳又は豆乳(120~150cc)に1~2個を入れてスープにします。温めたあとに、塩・胡椒を、さっと振りかけると、作りたての風味が楽しめます

【洋風だしの素】 5g×12
(株)POD ポラン オーガニックフーズ デリバリ(東京)
特製ローストオニオンをベースに、にんにく、香辛料、にがり再製塩で味を整えました
500ccに1袋が目安の使いやすい小袋タイプで、基本の洋風だしが手軽にとれます。お湯に溶けやすい微粉砕タイプです。煮込み料理にはもちろん、下味付けなどにもどうぞ