2013/01/14 作成
ゆでた大豆をこうじ菌と塩の力をかりて醗酵させる味噌は、毎日の食卓に欠かせない伝統的な食品です。醗酵により大豆のたんぱく質が分解され、旨みが増します。味噌は一年中つくれますが、家庭でつくる場合は雑菌の繁殖が少ない寒い時期がおすすめ。大豆を煮て、つぶして、混ぜて、こねて、仕込んだあとは熟成を待つだけ。半年ほどじっくり寝かせて好みの味に仕上げます
味噌づくりで残ったこうじで「塩糀」や「醤油糀」づくりにもチャレンジ
免疫力を高めるといわれる醗酵食品を毎日の食卓に取り入れましょう!
やさか共同農場(島根)
1972(昭和47)年に、有機農業を志す若者たちが全国から集り、島根県弥栄町で設立されたのが「やさか共同農場」です。入植以来、有機農業と農産加工品製造を両立させ、経済的にも社会的にも自立した共同体づくりを行なっています。現在では、弥栄で生まれた次世代もたくましく成長。“有機農業の里づくり”を目指し農業研修生の受け入れも積極的におこなっています
やさか共同農場代表 佐藤 隆さん
新みそ工場
こうじづくり
昨年10月に、新製造所が完成しました。新製造所の味噌造りでこだわったのは、こうじの力だけで醗酵させる「床こうじ法」というこうじ造りを復活させることでした
そのためにこうじを薄く広げられる幅2.5m×長さ10.5m畳25枚分のこうじ床をムロの中に設置しました。蒸した米や麦に種こうじ屋から購入したこうじ菌を着けると翌日には菌糸が伸び始め表面が白くなってきます。菌糸の繁殖が更に進むとこうじの温度が40℃近くになり菌糸の繁殖が止まってしまうので、こうじを混ぜて薄く広げて35℃ぐらいに冷ましてやります。この作業を4~5回繰り返して、3日目の早朝に真白な菌糸に覆われたこうじが出来あがります
このこうじ造りの作業は、室温30℃、湿度90%以上のムロの中で深夜まで続く手仕事なため、汗の量も半端ではありません。でもなぜか手や顔などがつるつるになり健康には良さそうなのです。一般的な大手味噌メーカーでは、自動醗酵機を使ってボタン調整だけでこうじが造られています。こうしたこうじに比べて、味噌の醗酵に必要な酵素や自然界の乳酸菌、酵母菌がこのこうじの中に豊富に含まれています。その違いは、実際にご家庭で味噌を手づくりなさると解っていただけるかと思います
米・玄米・麦と、3種類のこうじがあるわけですが、米よりも麦こうじの方が神経を使います。麦は水分を持ちやすく、醗酵熱も高めなので、一度にたくさん作ることはできず、米の約半分が製麹可能な量です。醗酵熱と水分を適度に逃がしてやることがポイントです。玄米こうじはまるっきり玄米だとこうじ菌が米の中に入っていけないので、3分づき位の物を使います。こうじ菌は室町時代から続く京都の「菱六」という所のものを使用しています。出来あがりの味噌としては、玄米はコクがあり、麦は少しさっぱりとした甘い香り、一番ポピュラーな米味噌は味噌づくりの初心者向きといったところでしょうか
塩糀や醤油糀をきっかけに、こうじの力を存分に発揮できる料理方法が色々と紹介されたりしていますが、味噌や糀漬けに甘酒…、本当にこうじの力は、無限かもしれませんね。どうぞ今年も<やさか>のこうじで味噌づくりを楽しんでください
やさか共同農場代表 佐藤 隆
【有機米こうじ】 1kg
【有機玄米こうじ】 1kg
【有機麦こうじ】 1kg
やさか共同農場(島根)
島根・やさか共同農場では、自社農場で栽培した有機穀物を蒸し、昔ながらのこうじ室(こうじムロ)で手作業でつくりました。種こうじは室町時代から続く京都の「菱六」製。購入後、すぐに味噌を仕込まない方、味噌を仕込んだけど余ってしまった方は、密封状態で『冷凍保管』してください。半年程、日持ちします
米こうじ…有機米のもつ甘味を、こうじ菌の働きでゆっくり時間をかけて引き出しました。栗香(くりか)と言われる甘い香りが特長
玄米こうじ…白米に比べ、個性的で力強い香りが特長。米の旨味が際立ち、コクのある味噌に仕上がります
麦こうじ…貴重な島根産有機六条大麦使用。ビタミンB群やカルシウム、食物繊維が豊富。麦特有の甘い香りの味噌に仕上がります
仕込んだ味噌は、6ヶ月を過ぎたころから食べることができ、1年ほど熟成すると味に深みが出てきます。玄米こうじは長期熟成向きで、1年半~2年が食べ頃の目安です。好みの味に熟成したところで密封容器に入れ、冷蔵庫で保存することで熟成速度をおさえることができます
<材料>
大豆…1kg、こうじ(米・玄米・麦共通)…1kg、塩…450g、種汁(大豆の煮汁)…200cc
<その他用意するもの>
焼酎(乙類/35度以上)、保存容器(寸胴タイプのカメやホーロー製のもの)、豆をつぶす道具(すり鉢、フードプロセッサーなど)、非塩素系ラップ、落とし蓋
<作り方>
- 一晩(8~10時間)水にひたした大豆を鍋に入れ、たっぷりの水でアクを取りながら4~5時間煮る
※むけた大豆の皮は吹きこぼれの原因になるので取り除いておく。指でカンタンに潰せるくらいまで煮るのが目安 - こうじと塩をかたまりがなくなるようにまんべんなく混ぜる。出来上がったものを「塩切りこうじ」と呼ぶ
- 煮大豆が冷めないうちに、塩切りこうじを均一になるように混ぜ合わせる
※大豆の煮汁は、材料にある「種汁」になるので、捨てずに取っておく - 材料をつぶす。すり鉢やフードプロセッサーなどを使うと便利。よくつぶせば、口当たりのなめらかな味噌に、粗めにつぶせば、大豆の粒の残ったワイルドな味噌に仕上がる
- つぶした大豆に種汁を加えて、ハンバーグの種程度の固さにする。それをお団子状にしてカメ(保存容器)にたたきつける
- 最後に表面を平らにならし、焼酎を吹きかけラップを貼り付ける。落とし蓋をのせ、ほこりが入らないように布や紙をかぶせる
※落とし蓋がない場合は、漬物石などを代用してもよい - 風通しがよく、直射日光が当たらない場所で保存し、つゆ明けに切り返し作業をする
※切り返し作業=表面のカビをとり、カメ(保存容器)の中の味噌をかき混ぜること。この後は、重石の必要はありません
【有機大豆】 300g / 1kg
中里町自然農法研究会(青森)/ポラン オーガニックフーズ デリバリ(東京)
甘み・旨みが強く、風味豊かな大豆です。味噌づくりはもちろん、煮豆にするとふっくらやわらかく煮あがります。生産者・中里町自然農法研究会代表の三上新一さんは、1962(昭和37)年の就農以来、有機農業に取り組んでいます。2009(平成21)年全国農業コンクールグランプリ・毎日農業対象受賞、2010(平成22)年には、第48回農林水産祭農産部門天皇杯受賞。その技術と経営には定評があります
大豆のイソフラボンで、正常細胞を活性化!
大豆に含まれる成分「イソフラボン」には放射性物質による細胞膜の障害(細胞の遺伝子や染色体を傷つけ、がんをはじめとする様々な病気を発症する、活性酸素による過酸化脂質の生成)を防ぐ働きが期待されています。他にも、造血機能の強化作用や、正常細胞を活性化し放射線でダメージを受けた細胞を排除する働きが期待される成分も含みます
【海の精(赤ラベル)】 170g /350g
【海の精漬物塩】 1.5kg
海の精(東京伊豆大島)
伊豆大島の海水でつくった純国産の自然海塩。立体式塩田に汲み上げ、風と太陽熱を利用して濃縮した海水を、釜で煮詰めた天日せんごう塩。ただ塩辛いだけでなく、ほのかな甘味や苦味、酸味があります。【海の精漬物塩】は、【海の精(赤ラベル)】より精製の工程を減らした徳用品。味噌づくりや漬物づくりに最適です
【カンホアの塩(石臼挽き)】 500g
カンホアの塩(東京)
原料はベトナム カンホア・プロヴィンス、ホンコイ村のきれいな海水を、南国の天日と自然風のみでゆっくり濃縮・結晶させ、溶けやすいように石臼で細かくひきました。塩の味がより出るシンプルな味付けのお料理に最適です。天ぷらのつけ塩、魚の塩焼き、焼き鳥、サラダの振り塩や野菜の塩もみなどにもどうぞ
【切り立ちカメ 蓋付き】 2号 / 3号 / 4号 / 5号 / 8号
【落とし蓋】 小 / 中 / 大 / 特大
ヤマタネ(愛知)
日本六古窯のひとつに数えられる「常滑焼」の陶器です。焼きがしっかりしていて、釉もなめらか。外気温の当たりが柔らかく、夏場も安心です。温度変化が少ないため、乳酸菌・酵母菌等の有用微生物を増殖させ、腐敗菌等の有害微生物の繁殖も防ぎます。【落とし蓋】も、接着剤を使っている合板ではなく、陶器の落し蓋がおすすめ。重石より均等に重量がかかります
塩糀(しおこうじ)
伝統的な調味料で、こうじ・塩・水を混ぜ醗酵・熟成させたものです。古くから漬物床等として利用されてきました。また、たんぱく質をアミノ酸に分解する酵素の働きにより旨味を引き出す作用があり、素材を活かした料理には特におすすめ。塩のように料理に使うことで、ワンランク上の美味しさに仕上げてくれます
<材料>
こうじ(米・玄米・麦共通)…300g、塩…200g、水…300~350cc
<その他用意するもの>
タッパーなど蓋付きの容器
<作り方>
- こうじと塩がなじむようにしばらく混ぜ合わる
- 容器に入れ水をひたひたになるまで入れ、フタをゆるめた状態で常温に置き、1日1回かき混ぜ空気を入れ、1週間~10日くらい熟成させる
- やわらかくなって甘い香りがしてきたら完成。冷蔵庫で保存し、半年くらいで使い切ります。保管中はかき混ぜる必要はありません
【やさかの有機塩こうじ】 200g
やさか協同農場(島根)
島根産有機米と京都産こうじ菌を原料につくった米こうじを自然塩と混ぜ、醗酵させた旨み万能調味料です。調理に使いやすいよう、こうじのつぶつぶ感をなるべくなくすよう工夫してあります。野菜や魚・肉の漬け床、塩の代用やドレッシング作りにもどうぞ。塩糀に含まれるこうじ菌が作りだす酵素は、糖やアミノ酸やグルタミン酸などを作り出し、食材に甘味や旨味をもたらします
醤油麹(しょうゆこうじ)
こうじを醤油と混ぜ、醗酵・熟成させたものです。炒め物や煮物に調味料として使うとまろやかな甘みが加わり美味しく仕上がります。醤油同様にディップやタレとしてそのまま料理につけて食べるのもおすすめです
<材料>
米こうじ…250g、醤油…400cc
<その他用意するもの>
タッパーなど蓋付きの容器
<作り方>
- 清潔な容器にこうじと醤油を入れ、濁ってとろみが出るような感じになるまで良く混ぜる。軽く蓋をした状態で常温のまま1日置く。翌日、こうじが醤油を含んだら、ヒタヒタになる量の醤油を追加(分量外)し、よくかき混ぜる
- 密閉容器に移し、フタを少しゆるめた状態で常温で保存
- 1日1回混ぜ、10日~2週間ほど常温で熟成 全体にとろりとしてきたら完成。冷蔵庫で3ヶ月程で使い切るのがおすすめです
【有機醤油こうじ】 180g
弓削多醤油(埼玉)
杉桶で仕込んだ天然醸造醤油と、国産米こうじを使い、醤油蔵が作りました
こうじの酵素が、でんぷんやたんぱく質を分解し、甘みや旨味成分でもあるブドウ糖やアミノ酸を生成。まろやかな旨味と甘みと、角のとれた塩味の万能調味料です
醤油と同様に冷奴、お刺身、炒め物、煮物のほか、たまごかけご飯にも。肉・魚・野菜の漬け床としてや、そのままタレやディップソース、オリーブオイルやごま油と合わせてドレッシングにもどうぞ